こんにちは。弁護士の吉村です。
本日も会社の倒産・破産から回避して再生するための話を弁護士としてさせていただきます。
3日前の3月31日,日経の朝刊に次のような記事がありました。
【東京スター銀、破産申請会社に再生融資枠】
東京スター銀行は、2月に東京地裁に破産を申請したプラスチック容器製造の和田工業(東京・墨田)に対し、再生融資枠を設定した。破綻した企業向けの融資では、民事再生など再建を前提とした案件に融資するのが一般的だが、破産申請した同社の再生可能性が高いと判断した。同行は2011年から再生融資の専門部署を設けるなど取り組みを本格化し、取り扱い実績は282億円になった。
おいおい,破産申請会社に融資ってありえるのか?と一瞬思いますよね。
ありえるんです。
この会社の倒産情報が帝国データバンクで公表されていますが,その情報の末尾にこそっと「なお、現段階において得意先から見込まれる受注もあり、当面のあいだ営業を継続する予定。」との記載があります。
つまり,この会社は負債は約30億くらいにのぼるとのことですが,1932年(昭和7年)8月創業から積み重ねた確かな技術で一定の得意先の信頼を確保し,破産したとしても,存続のニーズはあったのでしょう。
そして,ここから先は推測ですが,破産したとしても,その会社にある人・モノ・カネをコアな事業に集中すれば,きちんと利益を出し続けることができることを,得意先や金融会社にキチッと説明したのだと思います。それにより得意先もこれまでどおり取引を継続してくれ,仕入先などにも協力を得て(多少支払条件が厳しくなるかもしれませんが),さらに東京スター銀行の融資を勝ち取ることができたのだと思います。
スキームとしてはおそらく第二会社方式といいまして,この会社とは別の法人を設立し,そこへコアな事業を承継させる方法をとったのだと思われます。
要は,確実な事業があり,今後の事業の継続について実現可能なプランを示せたことがポイントで,それが揃えば,破産申請した会社でも再生できるのです。
会社が破産しても決して諦めてはいけない,その好例が公表されたことは大きな意味があると思います。
以上です。
【参考サイト】
・ 第二会社方式とは? http://www.e-kigyousaisei.com/qa/maa.html
・ 破産手続 http://www.e-kigyousaisei.com/qa/hasan.html
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